基幹システムとしてのEC-CUBE

ネットショップやECサイトと聞いてイメージするのは?
例えば食品や服などを一般の消費者向けに販売する、物販のサイトをイメージされると思います。
EC-CUBEも基本的には一般消費者向けのECサイト構築パッケージです。

しかし、EC-CUBEは、標準で多くの機能を持つため、カスタマイズすることで別のシステムに応用できます。
今回は、EC-CUBEを基幹業務システム(*1)として利用した事例をご紹介したいと思います。

(*1)【基幹業務システムとは】企業がビジネス遂行のために不可欠な主要業務を処理するシステム

クライアント

お教室運営管理会社様

国内外の複数か所のお教室を本部管理しております。
本部は、カリキュラムや認定資格、教室で使う教材などを管理・手配しております。
各お教室では、講師が生徒にレッスンを行い、新規入会者や授業の進捗状況を本部に報告しております。


事業イメージ

図1. 事業イメージ

課題

クライアント様は、個人情報や業務データは、別システムやExcelファイル、住所録、手書きの台帳で管理しておりました。
このため、次の課題を抱えていました。

  1. データが点在しているため、確認や更新に手間がかかり作業ミスも発生しておりました。
  2. 各お教室の講師や生徒が、自身の登録住所や受講状況データに直接アクセスできず、本部スタッフが電話やメールで対応しておりました。
  3. 情報漏えいや紛失リスクが高まっておりました。

対策

EC-CUBEを基幹システムとして、データを集約しました。
さらに、各お教室と本部の取引機能を拡張開発しました。
これにより、次の効果を実現できました。

  1. データが集約したことで、教材の注文登録や入会金の登録、宛名シールの出力まで一気に行うことができ、業務効率が向上しました。
  2. 拡張した取引機能により、各お教室が、教材の発注データ、新規入会者データを登録・確認でき、本部の業務量が減りました。
  3. アクセス制御や暗号化、バックアップにより安全性を高めました。


導入によるBefore After

図2. 導入によるBefore After

画面別カスタマイズ内容

【管理画面】

受注登録

お教室で利用する教材の注文は、TELかFAXでした。
注文数や注文商品種類が多く、オペレータが電話を受けながら入力できる画面が求められていました。
そこで、受注登録画面をAjax化し、画面遷移無しで、多くの注文を登録できるようカスタマイズしました。

また、未払い(年会費未払いなど)がある会員様からの注文時には、合わせて請求できます。


Ajax受注登録画面サンプル

図3. Ajax受注登録画面サンプル

会員管理

会員情報を、「年会費未払い」や「入会日」、「資格取得日」で検索できます。
また、検索結果を郵送用の宛名シールに一括出力することができます。

会員別購入履歴

会員の活動内容を履歴として管理できます。
「カリキュラムの受講履歴」や「受講した講師名」、または講師の場合「受け持つ生徒一覧」が確認できます。

商品管理

商品情報を拡張し、講師限定商品や、講師/生徒による異なる価格設定ができます。

メーカー登録

メーカ毎に仕入の注文履歴や支払状況、入庫状況が確認でき、入庫した在庫の商品マスタへの加算します。

【フロント画面】(スマートフォンからもアクセス可能)

マイページ

「カリキュラムの受講履歴」や「受講した講師名」、または講師の場合「受け持つ生徒一覧」が確認できます。
また、自身の個人情報(住所や電話番号など)を確認・編集可能です。
さらに、講師の場合、自身のお教室紹介WEBサイトを登録できます。

カート

教材の注文のみでなく、新規入会者の登録や年会費の支払が可能です。
また、商品の種類別に異なる送料設定ができます。

おわりに

本プロジェクトは、次のメリットを考え、EC-CUBEをベースに開発いたしました。

  • (A). 稼働実績が多く、安心である(推定稼働数:約20,000)
  • (B). 予め必要な機能が充実していたため、開発コストを削減できる
  • (C). 実際の画面をクライアント様に見せながら打合せができるため、要件定義や設計を効率的に行える

特に、今回は、業務が複雑であったため、(C)が重要でした。
今回のクライアント様に限らず、基幹系システムの導入には業務の整備が重要となります。
そのようなケースでEC-CUBEの柔軟性は非常に強力です。


業務フロー図サンプル

図4. 業務の整理